本当に身長を伸ばすサプリメント?「成長ホルモン分泌促進型」の効果は?

インターネットで身長を伸ばすサプリメントを探すと、さまざまな商品がヒットします。商品の売り文句でしばしば出会うのが、「成長ホルモン分泌を促す」というフレーズ。成長ホルモン分泌は、身長を伸ばす上で欠かせない要素の一つ。成長期の子供を持つお母さんが見れば、思わず飛びつきたくなるのではないでしょうか?

このような「成長ホルモン分泌促進型」の身長サプリメント、含まれる成分の代表例が、アルギニンとα-GPCです。これらの成分は、本当に成長期の子供の身長を伸ばすことに役立つのでしょうか?正しい身長サプリメント選びの基準を持つために、アルギニンとα-GPCについて調べました。

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材料は?どこから出る?成長ホルモンの基礎知識

成長期の子供の身長を伸ばすためには、「成長ホルモンがたっぷり分泌されたほうがいい!」というのはご存じですよね。

ところで、「成長ホルモンはそもそも、何から作られているの?」「一体どこから分泌されるの?」など、成長ホルモンの正体や分泌の仕組みはご存じでしょうか?身長を伸ばすために大事だと分かっていても、意外と詳しく知らない方も多いことでしょう。

アルギニンやα-GPC自体のことを知る前に、まずは成長期に欠かせない成長ホルモンの基礎知識から見てみましょう。

成長ホルモンの正式名称は、「ヒト成長ホルモン」といいます。英語では、”Human Growth Hormone”といい、略して“HGH”と呼ばれることも。身長サプリメントの中には、商品名に「HGH」が入っているものもありますよね。

成長ホルモンの正体は、アミノ酸191個がつながってできた「たんぱく質」。そして、成長ホルモンの生成や分泌に関わっているのが、脳の中にある「脳下垂体」(のうかすいたい)という器官です。

脳の下面にぶら下がるようにくっついていることから、「脳下垂体」と呼ばれるこの器官。とても小さく、その重さはたったの0.7グラムほど。成人女性の小指の先ぐらいしかありません。

ごく小さな器官ではありますが、脳下垂体はとても大きな仕事を担っています。成長ホルモンをつくり、脳からの指令を受けることで、成長ホルモンを分泌しているのです。

脳下垂体から分泌された成長ホルモンは、血液に乗って全身へ。骨や筋肉に到達すると、「受容体」と呼ばれるたんぱく質と結合。信号を伝え、成長を促してくれるのです。

成長ホルモンは、どのように身長を伸ばす?

成長ホルモンの正体や分泌の仕組みがお分かりいただけたかと思います。では、成長期に骨が伸び、身長を伸ばすには、成長ホルモンによってどのようなことが行われているのでしょうか?成長期に骨が伸びていく一連の流れを見てみましょう。

脳下垂体から分泌された成長ホルモンが骨に到達すると、骨の端の部分にある「骨端軟骨」(こつたんなんこつ)に働きかけます。

骨端軟骨は、身長を伸ばす上で重要な部分。この中には、骨をつくる細胞である「骨芽細胞」(こつがさいぼう)がたくさんあります。成長ホルモンによって骨芽細胞が活性化し、活発な細胞分裂によって「骨を伸ばす」活動が行われるのです。

骨芽細胞が活発な細胞分裂を始めると、まずつくられるのが、骨の“鉄筋”にあたるコラーゲン。そこに、“のり”の役割を果たすたんぱく質が塗られていきます。続いて、血液にのって運ばれてきたカルシウムやリンなどのミネラル分が自然に付着。次第に硬い骨組織へと変化します。

この繰り返しによって、背骨や脚の骨が伸びていき、結果として「身長が伸びる」ということです。

ですから、成長ホルモンが骨端軟骨に働きかけることが、骨を伸ばすためのスタートの合図。成長期に十分に身長を伸ばすためには、たっぷりと成長ホルモンが分泌されることが大事なのです。

なお、「成長ホルモン」という名前を聞くと、分泌されるのは成長期だけと思ってしまうかもしれませんね。実は成長ホルモンが分泌されるのは、成長期だけではありません。一生を通じて分泌されています。

ただし、その量は一定ではありません。分泌量は年齢によって大きく変化し、もっとも多く分泌されるのが、成長期にあたる思春期なのです。

たとえば、思春期前の成長ホルモン分泌量を100%としましょう。思春期の間に分泌量が増え、思春期後期になると、なんと約200%にも及びます。ところがその後はどんどん減り、お父さん・お母さん世代の30~40歳代では50%に。還暦を迎える60歳には、約30%にまで減っていきます。

成長ホルモンは、骨を伸ばすきっかけをつくる存在です。骨が伸びることで背が伸びるのですから、成長期に成長ホルモンがたっぷり分泌されることが、いかに大事なのかが分かりますね。

アルギニンやα-GPCは、成長ホルモン分泌に役立つ?

さて、成長ホルモンの重要性が分かったところで、本題の「成長ホルモン分泌促進型の身長サプリメント」に、話を戻しましょう。

成長ホルモン分泌型の身長サプリメントに使われるアルギニンやα-GPCとは、一体どんな栄養素なのでしょうか?本当に成長ホルモン分泌を促してくれるのでしょうか?一つずつ見てみましょう。

>>1:アルギニン

アルギニンとは、アミノ酸の一種です。存在が明らかになったのは1886年のこと。ドイツのシュルツ博士によって、ルピナスというマメ科の植物の芽から発見され、存在が知られるようになりました。

マメ科の植物から発見されたことからも分かるように、アルギニンは私たちが普段食べている食物やドリンク類にも含まれている成分です。

食物で多いのが、大豆製品や肉類、魚介類など。ドリンク類であれば、「レッドブル、翼を授ける」というフレーズで有名な「レッドブル」などのエナジードリンクや、「ポカリスエット」「アクエリアス」といったスポーツドリンクにも、微量ではありますが含まれています。

アルギニンは体内で合成できるため、いわゆる「非必須アミノ酸」に分類されています。ところが、子供の場合は生成量が少なめ。乳幼児期においては、食べ物から摂取する必要がある「準必須アミノ酸」とされています。

アルギニンの働きとしてよく知られているのが、「成長ホルモンの分泌を促す」というものですが、なぜアルギニンが成長ホルモン分泌を促すのでしょうか?そのメカニズムとして有力な説が、「アルギニンが成長ホルモン抑制ホルモン(SRIF)をブロックすることによって、 成長ホルモンが増加するのでは?」という説です。

……といっても、話がむずかしいですよね。やや専門的な内容にはなりますが、成長期に背が伸びる仕組みを知る上で、知っておいても損はない内容です。少しかみ砕きながら、見てみましょう。

成長ホルモンが脳下垂体から分泌されることは、先ほどお話しました。ちなみに「どれぐらいの量が分泌されるのか?」ということに関しては、次の二つのホルモンの影響を受けています。

・成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)・・・・・・成長ホルモンの分泌を高める。
・成長ホルモン抑制ホルモン(SRIF)・・・・・・成長ホルモンの分泌を下げる。

片方は“放出”という名の通り、分泌を増やそうとするホルモンです。また片方は、“抑制”という名の通り、分泌を減らそうとするホルモン。相反する作用をもつホルモンが働き合うことで、分泌量が決まります。成長ホルモン放出ホルモンが優位に働けば、成長ホルモンが分泌されるということですね。

逆に、成長ホルモン抑制ホルモン(別名:ソマトスタチン)が優位に働けば、成長ホルモン分泌が抑えられます。ところがアルギニンには、このソマトスタチンを阻害する働きがあります。そこで結果的に、「成長ホルモン分泌が促進される」と考えられているのです。

「それならば、アルギニン配合サプリメントは、成長期に身長を伸ばすサプリメントといえるのでは?」と思うかもしれません。でも実はここに、ある落とし穴があります。

というのも、たしかにアルギニンには成長ホルモン分泌を促す働きがあります。ただし分泌促進効果が認められているのは、医薬品であるアルギニン製剤。アルギニン配合の身長サプリメントとは、その配合量も摂取方法も違います。

身長サプリメントで摂れるアルギニン量は、アルギニン製剤に含まれているアルギニン量と比べると、ぐっと少なめ。しかもアルギニン製剤の場合は、「血中に直接注射」することで、アルギニンを摂取します。一方の身長サプリメントは「経口摂取」ですから、吸収率がまったく違うのです。

アルギニン配合の身長サプリメントの重量は、一般的に1粒あたり約200~300ミリグラムです。現実的にはありえないことですが、身長サプリメントの粒すべてがアルギニンからできていて、しかも100%吸収されたと仮定します。それでも、アルギニン製剤の試験と同じ結果を出すには、「50粒以上の身長サプリメント」を飲む必要があるのです。

日本小児内分泌学会も2013年、「(アルギニンを)サプリメントとして投与した場合に成長ホルモンの分泌が促進されたという学問的なデータが、信頼できる学術雑誌に報告されたことはありません」と注意を喚起しています。

客観的な事実や専門家の意見をふまえて考えれば、「アルギニンには成長ホルモン分泌を促す効果があるが、アルギニン配合の身長サプリメントでは成長ホルモン分泌は期待できない」という理解が妥当といえそうですね。

>>2:α-GPC

α-GPC(α-グリセリルフォリルコリン)は、母乳に含まれており、身体の成長に必要な成分です。アメリカでは早くから注目を集め、日本では厚生労働省が2006年に食品成分として認可。2009年に認可を正式発表し、α-GPC配合の身長サプリメントが登場しました。

α-GPC が注目を集めるようになったきっかけの一つが、NHKの情報番組「あさイチ」です。

2010年、同番組の「かしこいサプリメント術」特集の中で、α-GPC配合の身長サプリメントが取り上げられました。薬剤師が「α-GPCは成長ホルモン分泌を促す」と紹介したこともあり、口コミやインターネットなどで情報が広がったのです。

α-GPCが成長ホルモン分泌を促すのは、アルギニンと同じ仕組みと考えられています。成長ホルモン分泌にストップをかけるソマトスタチンを阻害することで、成長ホルモン分泌を促すというのです。

しかも、α-GPC配合の身長サプリメントの公式サイトを見れば、「○○は、母乳にも含まれる安全成分だから、長期間の使用や医薬品との併用も可能です」と書かれています。「母乳にも含まれる成分なら、成長期の子供に飲ませても安心できる!」「これなら、身長を伸ばす効果が期待できるのでは?」と思うかもしれませんね。

ただしアルギニンと同様、残念ながら効果には疑問が残ります。というのも、α-GPCの原料メーカーが行った臨床実験を見ると、その条件設定に“意図”を感じるからです。

α-GPCは、成長ホルモン分泌促進効果だけではなく、アルツハイマー型認知症に対して効果が期待できると言われています。ただし、それぞれの効果を実証するための実験を見てみると、実験にあたっての条件が違うのです。

・アルツハイマー型認知症・・・・・・・・・・・・1日3回の経口摂取
・成長ホルモン分泌促進・・・・・・・・・・・・・・静脈注射

口から飲む「経口摂取」と、血液中に直接流し込む「静脈注射」。当然ながら静脈注射のほうが強く作用します。敢えて静脈注射の実験をしているということは、「経口摂取では望む結果が出なかったため、効果が期待できる静脈注射に切り替えた」ということだと疑わざるを得ませんね。

もちろん、実験の条件だけで判断することはできません。でもアルギニンと同じく、「α-GPCには成長ホルモン分泌を促す効果があるが、α-GPC配合の身長サプリメントでは成長ホルモン分泌は期待できない」と理解しておくのが妥当だといえそうです。

たんぱく質をしっかり!バランスのいい食生活を!

背が伸びる期間は決まっています。一般的には、男の子は17~18歳、女の子15~16歳ごろに身長の伸びが止まります。

「限られた成長期の間に、できるだけ効率的に背を伸ばしてあげたい」と思うのが親心。だからこそ、効率良く背を伸ばしてくれそうな成長ホルモン分泌型の身長サプリメントに、注目が集まるのでしょう。ところが見てきたように、身長サプリメントに含まれる量では、成長ホルモン分泌量を増やすことは期待できないのです。

そもそも、仮に薬やサプリメントによって、成長ホルモン分泌が促進されたとしても、背の伸びにはつながらないことが、専門家によって指摘されています。

日本小児内分泌学会は、「たとえ成長ホルモンの分泌が薬剤によって促進されたとしても、成長促進しないことが、次のように科学的に証明されています」と見解を述べています。要は、身長サプリメントで成長ホルモン分泌を促進させること自体が、あまり意味がないのです。

ただし誤解してはいけないのが、意味がないのは「“身長サプリメントによる”成長ホルモン分泌促進」です。もちろん成長期に身長を伸ばす上で、成長ホルモンは重要。十分に分泌されなくてはなりません。

成長ホルモンの材料は、アミノ酸です。普段の食事で十分な量のたんぱく質を取り、良質なアミノ酸をバランスよく栄養補給してあげられるよう、サポートしてあげましょう。

また、どんなに成長ホルモンが分泌されたとしても、骨や筋肉の材料となるアミノ酸が不足しては骨が伸びず、身長が伸びません。骨を伸ばす意味でも、成長期は十分な量のたんぱく質を摂り、体内にアミノ酸を補給してあげたいものですね。

見てきたように、成長ホルモン分泌を考えて身長サプリメントを選ぶなら、「成長ホルモン分泌促進型」では効果に疑問が残ります。むしろ良質なアミノ酸をバランスよく含む「バランス栄養補給型」の身長サプリメントを活用することが、無理なく身長を伸ばすことにつながりそうですね。

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