子供にとって「安全な野菜」とは?有機・無農薬・減農薬・オーガニックの違い

成長期の子供を育てるには、美味しさや栄養に加えて、「安全・安心」にもこだわりたいものですよね。ところがスーパーマーケットに行けば、「有機野菜」や「無農薬野菜」など、さまざまな表記が。「なんとなく安全そうだな」とは思っても、違いが分かりにくいと感じる方も多いのでは?

そこで今回は、よく見かける「有機」「無農薬」「減農薬」「オーガニック」それぞれの定義を説明。特に安全性に焦点を合わせて、一つずつ解説します。

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まずは、「有機野菜=オーガニック野菜」です!

最初に、「有機野菜」「オーガニック野菜」について説明しましょう。

有機野菜とは、ざっくり大きくまとめると、「農薬や化学肥料などの化学物質に極力頼らず、自然界の力で生産された野菜」を指します。オーガニック野菜も同じ。「有機野菜=オーガニック野菜」と理解して大丈夫です。

1999年に改正された「JAS法」では、有機農産物と有機農産物加工食品のJAS規格が定められました。そこで示されたルールを守り生産された食品だけが、「有機JASマーク」を付けることが認められます。「有機」「オーガニック」といった表示ができるのです。

※JAS法とは?
飲食料品などが、一定の品質や特別な生産方法で作られていることを保証する「JAS規格制度(任意の制度)」に関する法律です。2015年4月「食品表示法」の施行により、正式名称が「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」から「農林物資の規格化等に関する法律」へと変更されました。

なお、有機JAS認定を受けるには、かなり厳しい条件があります。主なものを見てみましょう。

<有機JAS認定を受けるために必要な、主な条件>
・農薬や化学肥料は、原則として使用しないこと。

・種まきまたは植え付けの時点からさかのぼり、2年以上(多年生作物の場合、最初の収穫前3年以上)禁止されている農薬や化学肥料を使用していない水田や畑で栽培されていること。

・有機農作物の生産者は、生産から出荷までの生産工程管理・格付数量などの記録を作成していること。

・遺伝子組み換え技術を使用していないこと。

やや専門的な内容も含まれていてむずかしいですが、「厳しそう」というのは分かりますよね。しかも厳しいのは、栽培条件だけではありません。認定されるには、これらの条件をクリアした上で、農林水産大臣に登録された登録認定機関の認定を受ける必要があります。認定に当たっては、書類審査に加えて、実地検査も行われます。

また、「一度認定を受けたら安心」というものでもありません。認定後も、登録認定機関による調査が、最低でも年に1回は行われます。登録認定機関に対しての監査も厳しく、適正な業務運営を行っているかについて、独立行政法人である「農林水産消費技術センター」が、年に1回、監査を行うことになっているのです。

厳格なルールと、何重にもチェック体制が行き届いた認定制度。これだけの条件や制度をクリアして初めて与えられる「有機JAS認定」ですから、安全性はある程度高いと考えても良さそうです。

実は、「無農薬野菜」「減農薬野菜」は名乗ってはいけない!

安心野菜の代名詞として「無農薬野菜」や「減農薬野菜」という言葉も、よく見かけますね。ところが実は「無農薬」「減農薬」といった表現は、2004年4月1日に施行された農林水産省の「特別栽培農産物ガイドライン」によって、使用禁止になったことをご存じでしょうか?

というのも、「無農薬」「減農薬」には、法律に基づいた明確な基準がありませんでした。有機JAS認定のように、厳格な検査機関もありません。極端な言い方をすれば、生産者が「無農薬で作った野菜です」と自己申告すれば、いとも簡単に「無農薬野菜」を語ることができたのです。

また、「消費者に誤解を与えやすい表現であること」も、以前から問題視されていました。では、どのような誤解を招くのでしょうか?代表的なものを見てみましょう。

>>問題1:「無農薬」は農薬ゼロではない!

「無農薬野菜」と聞くと、「化学肥料を使っていない野菜」と思いませんか?でも実際には、化学肥料の使用が許可されていました。また、栽培している畑自体で農薬の使用を控えていても、周囲の畑から飛んでくる農薬によって汚染される可能性もありました。

「無農薬野菜」と書かれていても、決して農薬ゼロではない。でも、消費者は農薬ゼロと思ってしまう……。そのような問題が、指摘されていたのです。

>>問題2:「減農薬」はあくまで「前より減らした」だけ!

「減農薬野菜」と聞くと、通常の野菜より農薬使用回数が少ないと思いがちです。ところが「減農薬」が意味するところは、「その地域で通常使用される農薬の使用回数を、半分に減らす」というもの。この「通常使用される」という点が、誤解を招きかねないのです。

たとえば、農薬を「通常20回」使用している地域があったとしましょう。通常の使用数が20回ですから、10回に減らせば使用回数は半分に。ですから「減農薬」と表示することができます。

対して、「通常8回」の地域だとどうでしょうか?6回に減らしても、半分にはなりません。そのため、「減農薬」とは表示できないのです。

農薬を10回使っている「減農薬野菜」と、農薬を6回しか使っていないけれど、減農薬とは表示できない野菜。もちろん、どちらが安全かは一概には言えません。でも、消費者が両者を比べると、「減農薬野菜」と表示されているほうを選びかねませんね。

なお、現在では、化学合成農薬と化学肥料を共に一定(通常の5割)以上減らして栽培された農産物は、どれも「特別栽培農産物」と呼ぶようになっています。

チェック制度が整っている有機野菜、手放しで安心してOK?

ここまで、「有機」「無農薬」「減農薬」「オーガニック」の定義や安全性について見てきました。

明確なガイドラインがつくられ、信頼できる検査機関が細やかにチェックしている「有機野菜」と「オーガニック野菜」。これなら、安心して食べることができそうですね。ただし、懸念事項もあります。主なものを見てみましょう。

>>1:価格が比較的高い!

有機野菜やオーガニック野菜を作るには、手間ひまがかかりますから、その分どうしても、割高になってしまいます。安全をお金で買うと思えば無駄な出費ではないのでしょうが、日常的に使うには、まだまだハードルが高いといえそうですね。

「生で食べるサラダ用だけ」「毎朝飲む野菜ジュース用だけ」などと、限定して使うのもいいかもしれませんね。

>>2:農薬不使用ではない!

有機野菜やオーガニック野菜は、厳しい基準の下で生産される野菜です。そのため、「有機=農薬ゼロ」という印象を持つ方も多いことでしょう。

残念ながら、有機野菜もオーガニック野菜も農薬不使用ではありません。農林水産省の「有機JAS認定」では、有機農産物の国際基準に準拠した農薬使用を許可しています。

政府が認めた農薬ですから、一般的なものと比べると安全性は高いといえるでしょう。ただし、「有機野菜は健康的」「オーガニック野菜なら絶対に安全」といったイメージだけに踊らされず、親として正しい知識を身につけることが大事といえそうですね。

なお、「うちの子は野菜ギライだから、栄養不足が気になる……」と、サプリメントを活用する保護者さまも増えています。どうしても栄養素の含有量に意識がいきがちですが、安全性にも十分気を配って選びましょう。

サプリメントは健康食品ですから、医薬品ほどの品質管理が問われることはありません。ですが、成長の過程にある子供の身体に直接入り、身体をつくるもの。できるだけリスクの少ない、安心して飲めるものを選びましょう。インターネットで「成長期 サプリメント 品質管理」などのキーワードを入力して調べてみると、製造過程にも十分こだわったサプリメントが検索できますよ! 

野菜もサプリメントも「なんとなく安全そう」ではなく、しっかりと知識をつけた上で、客観的なデータなども調べ、しっかりと保護者さまが安全性を判断してあげましょう。

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