汗をかけない子供たちが急増!熱中症対策「汗」の話

熱中症対策において、「しっかり汗をかく」ことは重要なポイントです。もしまったく汗をかかなければ、体温はぐんぐん上昇。真夏の炎天下で30分間ジョギングすると、計算上では体温は42度を越え、生命を落としかねません。しばしば「最近の子供は、上手に汗をかけなくなった」といわれます。本当なのでしょうか?真実だとしたら、大丈夫なのでしょうか?

子供たちを熱中症から守るためにも、汗の働きや汗の出る仕組みを理解しながら、「現代っ子の汗事情」を把握しておきましょう。

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汗はなんのために出る?意外と知らない大事な仕組み

汗というと、どんなイメージでしょうか?うだるような暑さの中でかく汗や、極度の緊張からかく冷や汗……。もしかしたら、不快なイメージがあるかもしれませんね。でも汗には、とても大切な役割があります。まずは、汗の働きについて見てみましょう。

汗の働きは、「上昇した体温を下げる」こと。汗は、運動や強い日差しなどによって上がった体温を下げ、ほぼ一定に保つ役目を果たしているのです。

この働きに関係するのが「気化」と「気化熱」ですが、「気化って、どういう意味?気化熱って何のこと?」「聞いたことはあるけれど、いまいち分からない……」という方も多いことでしょう。その仕組みを理解していただけるように、「注射のときのアルコール消毒」を例に説明しましょう。

注射を打つときには、脱脂綿に含ませたアルコールで、肌の表面を消毒しますよね。恐らく「冷たい!」と感じるはずです。でも実際には、アルコール自体が冷たいわけではありません。

では、なぜ冷たく感じるのでしょうか?理由は、肌についたアルコールが蒸発する(乾く)ときに、肌表面の熱を奪うから。そしてこの、液体が気体になる変化を「気化」といい、気化の際に奪う熱のことを「気化熱」といいます。アルコールは水以上に気化しやすいので、水を含ませた脱脂綿よりもアルコールの方が冷たく感じるというわけです。

それでは、話を「汗」に戻しましょう。

汗をかくと、しばらくすると蒸発します。汗も同じく液体ですから、そのまま放置していると、いずれは乾きます。その乾く瞬間に「気化」が起こり、気化の際に体温を吸収(気化熱)しています。汗の本来の目的は、「汗という水分を出すこと」ではなく、「水分が乾く過程において熱を奪うこと」。さらに言えば、「熱を奪うことで、体温を下げること」なのです。

他にも、身近なところで「気化」が行われています。

たとえば、「打ち水」。夏の暑い日、軒先に打ち水をすると涼しくなりますよね。これも気化の原理を応用したもの。地面に水をまくと、その水が蒸発するときに地面の熱を奪ってくれます。だから涼しく感じるという仕組みなのです。

また、お風呂上りに湯冷めするのも、皮膚表面で気化が起こっているため。身体がぬれたままの状態だと、身体についた水分が乾く(気化する)ときに熱を奪います。そのため、身体が冷えてしまうんですね。

どれぐらい体温が下がる?汗の冷却効果とは?

それでは、汗をかくことで、どれぐらい体温が下がるのでしょうか?その効果を見てみましょう。

1mlの汗が蒸発するとき、身体から「0.58kcal」の熱量を奪います。もしかすると「え、それだけ?」「なんだか少なそう……」と思うかもしれませんね。いえいえ、そんなことはありません。もっと現実レベルで考えてみましょう。たとえば、体重60kgの男性の場合。汗を100mlかくと、1.16度の体温を下げる効果があります。

実際に、バドミントンの練習で計測したデータによれば、体重60kgの選手が1時間で流す汗の量は「1,000ml」でした。それだけの汗を流せば、「11.6度」も熱を下げることに。この冷却効果は侮れませんよね。

また、日本体育協会の資料には、「運動中の発汗量は、1時間に2リットルを越えることがある」と記載されています。そうなれば、「23.2度」の体温を下げていることになります。もちろんかいた汗のすべてが蒸発して、体温を下げるのに使われているわけではありません。でも、高い放熱効果が得られることは、間違いなさそうです。

ここまで高度な放熱効果を備える汗をかけるのは、人間や馬など限られた種だけ。「汗をかく能力が、人類を大きく進化させた」と提唱する人類学者もいるほどです。

汗というと、「なんだか不快」「かくと面倒くさい」などマイナスの印象を持ちがち。でも、実は大切な働きをしていると知ると、がらりとイメージが変わりそうですね!

「最近の子供はあまり汗をかかない」は本当?その理由は?

夏の体温上昇を防ぐために、しっかりかきたい汗。ところが最近の子供たちは、汗をかきにくいと言われています。本当なのでしょうか?汗が出る仕組みについて説明しながら、検証してみましょう。

私たちが汗をかくとき、皮膚表面にある「汗腺」から汗が分泌されています。汗腺はおよそ200~500万個。ただし、すべての汗腺から汗が出るわけではありません。汗をかける汗腺を「能動汗腺」といい、この数が多いか少ないかで「どれぐらい汗がかけるか?」が決まります。

能動汗腺の数を左右するのは、「乳幼児期の過ごした環境」だといわれています。データによれば、2歳半ごろまでには数が決まるのだとか。涼しいところで過ごせば、あまり汗をかく必要がありませんから、能動汗腺の数の増え方はゆるやかになります。逆に、暑い所で過ごせば、たっぷりと汗をかきながら、能動汗腺もしっかり発達していきます。

たとえば、寒さの厳しい環境で暮らすロシア人の能動汗腺は、平均190万個。一方、年中暑い環境で暮らす熱帯地域の人々は平均290万個。その数には、約100万個もの開きがあります。

日本人の能動汗腺の平均は、230万個といわれています。でも、今では生まれたときから冷房があるのが当たり前。乳幼児期に汗をかく機会が減っています。その結果、能動汗腺があまり発達せず、能動汗腺が少ない子供、つまり「汗のかけない子供」が増えているのです。「最近の子供はあまり汗をかかない」というのは、本当のことなんですね!

「熱中症に弱い」だけじゃない!知っておきたい3つのデメリット&対策

あまり汗をかかなければ、実は困った事態が発生します。一体どのようなことがあるのでしょうか?3つのデメリットと対策を見ていきましょう。

>>1)熱がこもり、熱中症にかかりやすくなる

やはり、「熱中症にかかりやすくなる」ことが、一番のデメリット。汗をうまくかけなければ、体内に熱がこもることに。医療関係者も、「日ごろ汗をかかない人は、特に熱中症に対して注意が必要」と指摘しています。

猛暑の中でも汗をかけない「現代の子供」は、昔の子供に比べて熱中症のリスクが高くなっています。とはいっても、「暑い環境を避けないと!」と冷房に頼り切った生活をするのもキケン。自律神経のバランスが乱れ、余計に汗をかきにくくなってしまいます。

こうなると悪循環ですから、適度な暑さの中に身を置きましょう。汗をかく機会を増やすことが大切です。もちろん、こまめな水分補給も心がけてくださいね。

>>2)熱の発生が抑えられ、「低体温児」になる

身体には、自分の身体を守るための機能が備わっています。「汗をかけない」ということは、「体温上昇に対応する機能が弱い」ということ。身体はその弱点をカバーしようとして基礎代謝を低くし、熱の発生を押さえようとするのです。

その結果、子供たちの平熱が低下傾向に。最近では、常に平熱が35度ほどしかない「低体温児」が増えています。

低体温というのは、ただ「人より体温が低い」だけではありません。「集中力が続かない」「疲れやすい」「風邪をひきやすい」「アレルギー疾患が増える」など、日常生活や社会生活に弊害が出てしまうのです。

低体温を解消するには、普段の生活の見直しが大切です。「朝ごはんをしっかり食べる」「しっかりと身体を動かす」「夜はぐっすり眠る」など、当たり前ではありながら、できていないことも多いはず。一つずつ改善してあげましょう。

>>3)アンモニアなどが含まれ、悪臭を放つ

「汗をうまくかけないと悪臭を放つ」というのも、見逃せないデメリットです。

体温調整のためにかく汗は、本来はサラサラとしていて無臭。基本的に、においはありません。いわゆる「汗臭さ」というのは、汗をかいたまま放置して、皮膚の雑菌などと反応したにおいなのです。

汗の材料は、「血液」だということをご存じですか?汗は、血液の中の血しょうを使ってつくられています。血しょうの成分のうち、約9割は「水」。本来の汗は水に近いため、におわないはずなのです。

ところが、血しょうの成分のうち、残りのわずか約1割の中には、ほんの少量とはいえ、雑菌を寄せ付ける原因をつくる「重炭酸イオン」や、イヤなにおいのもとである「アンモニア」などが含まれています。

正常に働いている汗腺であれば、水以外の成分を吸収するので、汗の材料にはなりません。ところがうまく働かなければ、汗の中にこれらの成分が含まれることに。すると時間が経つと肌表面で雑菌が繁殖し、におったりベタベタしたりするのです。

思春期の子供はニオイに敏感なので、とても気にします。汗臭さは、汗をかいたまま放置することが原因。たとえば、

・汗をかいて1時間以内に、ぬれタオルなどでふき取る
・汗が自然に蒸発するよう、通気性の良い服を着せる

などの工夫で、「ベタベタの汗」「不快なにおいがする汗」を防いであげてくださいね。

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